力の差が大きい相手に対して、強気な言葉を使うときは、歴史を思い出してよく考える必要がある。
この一文は、今の日本にとって、とても大事なメッセージだと感じます。
ここでいう「相手」とは、国であればアメリカや中国のような大国です。
そして「強気な言葉」とは、「やるならやってみろ」「絶対に負けない」といった、勇ましい発言のことです。
一見すると、強い言葉は「頼もしいリーダー」に見えます。
しかし、歴史をふり返ると、力の差を冷静に見ないまま強い言葉を使った結果、国全体が大きな被害を受けた例がたくさんあります。
この記事では、
- 東條英機の時代(対アメリカ)
- 現在の日本(対中国)
を重ねながら、「強い言葉」と「力の差」の問題について考えてみます。
1.東條英機の時代:勝っているようで、負けは始まっていた
第二次世界大戦の前半、日本はアメリカやイギリスと戦争を始めました。
その時の首相の一人が、東條英機です。
戦争の最初、日本は真珠湾攻撃やシンガポール占領などで、次々と「勝利」を報じられました。
新聞やラジオでは、
- 「日本軍、大戦果!」
- 「連戦連勝!」
というニュースが流れ、多くの国民は「日本は強い」「このまま勝てる」と信じていきました。
しかし、現実の国力はどうだったでしょうか。
- 経済力 → アメリカの方がはるかに大きい
- 資源 → 石油や鉄など、アメリカは豊富、日本は不足
- 工業力 → アメリカは大量生産が可能、日本は長期戦に耐えにくい
つまり、「力の差」は最初から大きかったのです。
それでも、政治家や軍のトップは、
- 「短期決戦なら勝てる」
- 「精神力で乗り切れる」
と考え、強い言葉を使い続けました。
その結果どうなったかは、私たちが知っている通りです。
国土は焼け野原になり、多くの命が失われました。
ここから言えることは、とてもシンプルです。
表向きの「勢い」と、
現実の「国力の差」は、まったく別物だ。
2.今の日本と中国:冷静に見れば、かなりの差がある
次に、今の日本と中国を考えてみます。
細かい数字はここでは挙げませんが、ざっくり言うと、
- 経済の大きさ(GDP):中国は日本の数倍
- 人口:日本 約1億2千万人、中国 約14億人
- 軍事費:中国は日本の何倍も使っている
- さらに中国は核兵器も持っている
もちろん、日本には、
- 日米同盟
- 高い技術力を持つ自衛隊
- 地理的な条件(島国)
といった強みもあります。
しかし、単純な「量」や「規模」で見ると、中国が大きく上回っているのは事実です。
そう考えると、
- 「中国に対して、あまりに挑発的な言葉を続ける」
- 「相手のプライドを傷つけるような発言を繰り返す」
というのは、とてもリスクの高い行動です。
東條内閣の時に、
「アメリカの力を甘く見て、戦争に突き進んだ」
という歴史がある以上、
今の日本が中国に対して強い言葉を使うときは、「本当にそれで得か?」「何が失われるか?」を何度も考える必要があります。
3.なぜ人は「強い言葉」に拍手してしまうのか
ここで不思議なのは、
力の差がある相手に強いことを言うと、
かえって国内では人気が出ることが多い
という点です。
理由はいくつか考えられます。
(1)不安だからこそ、「強い言葉」にすがりたくなる
- 物価が上がって、生活が不安
- 国際ニュースを見ると、中国やロシアがこわい
- 将来の日本経済も心配
こういうとき、人はどうしても、
「はっきり敵を指さしてくれる人」
「強い声で守ると言ってくれる人」
に安心感を覚えます。
たとえ、その「強さ」が現実的でなくても、一瞬は気持ちがラクになるからです。
(2)ネットやテレビは「分かりやすい言葉」が好まれる
- シンプルなスローガン
- 感情を刺激する言葉
- 敵と味方をはっきり分ける発言
こうしたものは、拡散されやすく、拍手も集まりやすいです。
逆に、
- 「力の差を冷静に考えよう」
- 「戦争と経済を両方見ないといけない」
- 「粘り強い交渉が大切だ」
という言葉は、地味で時間もかかるため、あまりバズりません。
しかし、本当に国を守るのは、たいてい地味なことです。
- 情報収集
- 経済の安定
- 外交交渉
- 危険を避けるラインの設定
これらは、派手な「強い言葉」より、ずっと大事です。
4.歴史から学べる3つのポイント
では、「力の差が大きい相手に強気な言葉を使う」とき、私たちは何を意識すべきでしょうか。
ポイントを3つにしぼります。
① 「気持ちの強さ」と「国力の強さ」は別物
- 「気合い」や「根性」は大切です。
- しかし、戦争や外交は、経済力・人口・軍事力・同盟関係といった、具体的な条件で結果が変わります。
どれだけ言葉が強くても、
ガソリンが無ければ車は走れない。
それと同じです。
② 「一瞬のスッキリ感」と「長期的な損失」を区別する
- 強い言葉を言うと、
- 支持率が上がる
- SNSで拍手が増える
- 「よく言った!」と持ち上げられる
- しかし、もし相手国が本気で怒って、
- 貿易や投資を止める
- 軍事的な駆け引きをエスカレートさせる
となれば、何十年も日本の生活に悪影響が続くかもしれません。
5秒間の拍手
VS
5年〜10年の不景気
どちらが重いかは、よく考える必要があります。
③ 「強い言葉」より、「強い交渉力」
本当に強いのは、
- 相手の力も、自分の力も冷静に測る
- 相手のメンツ(プライド)も考えながら、自国の利益を守る
- 感情的にならず、粘り強く交渉を続ける
というタイプのリーダーです。
「怒鳴るリーダー」より、
「考えるリーダー」が、結果的には国を守る。
東條の時代の失敗を繰り返さないためには、
「声の大きさ」ではなく「頭の使い方」を見たいところです。
5.簡単に言うと(まとめ)
最後に、この記事の内容を、できるだけ短くまとめます。
- 東條英機の時代、日本はアメリカとの力の差を甘く見て戦争に入り、大きな被害を受けた。
- 今の日本と中国にも、大きな国力の差がある。
- それなのに、国内向けには「強い言葉」を求める空気が生まれやすい。
- しかし、その一瞬のスッキリ感のために、
- 経済
- 安全保障
- 国民生活
に長期的なダメージが出るかもしれない。
- だからこそ、
- 力の差が大きい相手に対して、強気な言葉を使うときは、
歴史を思い出して、よく考える必要がある。
- 力の差が大きい相手に対して、強気な言葉を使うときは、
という一文は、これからの日本にとって、とても大事な「自分へのブレーキ」だと言えます。


コメント