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高市首相の量子投資と脳疾患の未来

1925年、ハイゼンベルクたちの論文から始まった量子力学は、今年でちょうど100年。
レーザー、半導体、パソコン、スマホ……現代文明の“土台”の多くは、実は量子力学抜きには成立しません。arXiv

そして今、高市早苗首相は所信表明演説の中で、AI・半導体と並ぶ戦略分野として「量子」を掲げ、大胆な投資を進める方針を示しています。仙天橋+1

さらに日本政府は「量子未来産業創出戦略」で、

  • 2030年までに国内の量子技術の利用者 1,000万人
  • 量子技術による生産額 50兆円規模
    を目標に掲げました。経済産業省+1

一方で、多くの人にとって量子力学は

「難しそう」「SFの話でしょ?」

というイメージのままです。

この記事では、「常識を一度横に置く」ことで見えてくる量子の世界と、
量子コンピューターが“脳疾患(認知症・脳卒中・てんかんなど)”の診断・治療にどう役立ちうるのか
を、できるだけやさしく整理してみます。


目次

1. なぜ今、「量子」が国の成長戦略の柱になるのか

量子力学100周年に合わせて、国連は2025年を**「国際量子科学技術年」**と定めました。ユネスコ+1

世界各国がこのタイミングで量子に注目する理由はシンプルです。

  • 量子技術が
    • 次世代コンピューター(量子コンピューター)
    • 超高精度センサー
    • 超安全な通信(量子暗号)
      など、新しいインフラになる可能性が高いから
  • そして、その“インフラ”を押さえた国が
    • 経済
    • 安全保障
    • 産業競争力
      で大きな優位を持つから

日本も遅れまいと、量子研究だけでなく、産業・人材育成・教育までを含む戦略を一体で進めようとしています。内閣府ホームページ+2文部科学省+2


2. 常識を一度横に置く:量子の世界の3つの特徴

量子の世界は、「目に見える日常」とまったく違うルールで動いています。代表的なのはこの3つ。

(1) 重ね合わせ:「同時にAでもありBでもある」

電子のようなミクロな粒は、

  • ここに“だけ”ある
    のではなく、
  • 複数の状態が“同時に重なって”存在している
    と考えます。

中が見えない箱の中に電子があるとき、

  • テニスボールなら「左」か「右」どちらか一方
  • 電子なら「左にも右にも同時にいる」

というのが量子力学の考え方です。箱を開けて観測した瞬間に、はじめて「左」か「右」に決まる、と説明します。

(2) 量子もつれ:「どんなに離れても一心同体」

もう一つ、有名な「量子もつれ」。

  • コイン2枚をペアにして
    • 1枚が表なら、もう1枚は必ず裏
    • 1枚が裏なら、もう1枚は表
      になるような不思議な関係を想像してください。

このペアを、東京とニューヨークに分けておいて、

  • 東京側で「表」を観測した瞬間
  • ニューヨーク側は「裏」に“決まってしまう”

これが量子もつれのイメージです。

アインシュタインはこれを

「遠くで起きる、気味の悪い即時作用」

と批判しましたが、その後の実験で量子もつれは現実に存在することが証明されました。これに大きく貢献したアラン・アスペ、ジョン・クラウザー、アントン・ツァイリンガーらには、2022年ノーベル物理学賞が授与されています。NobelPrize.org+1

(3) 「理解できなくても、使いこなせばいい」という割り切り

量子力学は、人間の直感から見ると本当に“変”です。

それでも、

  • 実験結果が間違いなくそう示している
  • その理論を使うと、半導体・レーザー・LEDなど役立つ技術が次々に生まれる

ので、物理学者たちは

「直感的には変でも、“正しいツール”として受け入れて使いこなす」

というスタンスを取ってきました。arXiv


3. 量子コンピューターとは何者か?

量子コンピューターがすごいと言われる理由は、
「重ね合わせ」と「量子もつれ」を計算に利用できる
からです。

古典コンピューターとの違い

  • 古典コンピューター
    • 情報の最小単位:ビット(0か1のどちらか)
  • 量子コンピューター
    • 情報の最小単位:量子ビット(0と1が“重なった”状態も取れる)

このおかげで、

  • 古典コンピューターが
    • 0か1か、1通りずつ試す
      のに対して
  • 量子コンピューターは
    • 膨大な組み合わせを“同時並列的に”なめる
      ような計算が得意になります。

特に、「組合せ最適化」と呼ばれる分野――

  • 配送ルートを最も効率よく決める
  • 株や電力の取引を最適化する
  • 工場のラインを最小コストで動かす

などで、大きな威力を発揮します。arXiv

とはいえ、万能ではない

ただし、量子コンピューターは何でも古典コンピューターより強い“魔法のマシン”ではありません。

  • 文書作成やウェブ閲覧
  • データ保存や安定したサーバ運用

などは、今のところ古典コンピューターの方がずっと得意です。

実際、日本でも量子インスパイアード(量子風)アルゴリズムを古典コンピューター上で動かすソリューション(東芝の「SQBM+」など)が先に実用化され、金融・創薬・物流などの分野で検証が進んでいます。内閣府ホームページ+1


4. 社会と生活はどう変わるのか?

量子技術は、次のような分野で“ムダ削減”や“高精度化”に貢献すると期待されています。内閣府ホームページ+2内閣府ホームページ+2

  • 金融:
    ポートフォリオの最適化、高頻度取引の高度化
  • 物流・交通:
    トラック・船・飛行機のルート最適化、渋滞の緩和
  • エネルギー・環境:
    発電所の運転計画の最適化、再エネとの組み合わせ
  • 製造:
    工場ラインの設計、故障予測
  • 材料・化学:
    新材料・新薬の設計(分子レベルの計算)

そして、この**「材料・化学・医療」**の分野こそ、
脳疾患の治療・予防に直結しうる重要な領域です。


5. 量子技術と脳疾患:認知症・脳卒中・てんかんへのインパクト

ここからが、本題の「脳疾患×量子」の話です。

量子技術は、まだ臨床現場で当たり前に使われているわけではありませんが、
将来の脳疾患の診断・治療・創薬に強いインパクトを持ちうる
と考えられています。PMC+1

5-1. 創薬:アルツハイマー病などの分子レベルの理解を深める

多くの脳疾患、特に

  • アルツハイマー病
  • パーキンソン病
    などの神経変性疾患では、
  • 特定のタンパク質が異常凝集する
  • シナプスの働きが変化する

といった分子レベルの異常が重要な鍵を握っています。

ところが、タンパク質のふるまいを正確にシミュレーションするには計算量が膨大で、古典コンピューターだけでは限界があります。

そこで期待されているのが量子コンピューターによる分子シミュレーションです。

  • 複雑な電子状態
  • 分子同士の相互作用

を、より効率的に計算できる可能性があり、
認知症やパーキンソン病向けの新薬候補を見つけるスピードを上げることができるのではないか、と議論されています。PMC+1

もちろん、今すぐ「量子コンピューターで認知症の特効薬ができる」という段階ではありません。
しかし、

・候補物質の“ふるい落とし”
・副作用の少なそうな構造の探索

など、ドラッグデザインの“前工程”で量子計算を組み合わせる研究がすでに始まっています。セル.com+1

5-2. 画像診断:早期診断を助ける量子機械学習

脳疾患の診断に欠かせないのが、

  • MRI
  • PET
  • CT

などの画像データです。

最近では、こうした画像をAIが解析して、

  • アルツハイマー病のごく初期の変化
  • 脳腫瘍の境界
  • 脳卒中のごく早い段階のサイン

を見つける研究が進んでいます。そこに**量子機械学習(量子版ディープラーニング)**を組み合わせる試みも始まっています。Nature+1

例えば研究レベルでは、

  • MRI画像を量子ニューラルネットワークに入力し、
  • 古典的なAIより少ないパラメータで、
  • 脳疾患の有無や進行度を分類できるか

といった実験が行われています。Nature+2arXiv+2

これが実用レベルまで成熟すれば、

  • より早い段階での認知症リスク検出
  • 脳卒中後のダメージ範囲の予測
  • てんかん発作の再発リスクの評価

などに役立つ可能性があります。

5-3. 治療計画・リハビリの“最適化”

脳疾患の治療は、「薬だけ」で完結しません。

  • 抗てんかん薬の組み合わせ
  • リハビリの内容と頻度
  • 生活習慣(睡眠・運動・食事)
  • 合併症(腎臓病・心血管疾患など)

など、多くの要素を同時に考える必要があり、
“一人ひとり違う”最適解を探す問題です。

ここで活きてくるのが、量子コンピューターが得意な「組合せ最適化」です。セル.com+1

  • ある患者さんの
    • 年齢・既往歴・検査値・生活パターン
      を入力し、
  • 薬の種類・用量・リハビリ頻度などの組み合わせから
  • 「副作用を抑えつつ、QOLが最も高くなる選択」を探す

といった**個別化医療の“探索エンジン”**として、
量子技術が使われる未来も考えられています。

現時点では、まだ「コンセプト段階」ですが、
脳卒中後のリハビリ計画
認知症予防プログラムのカスタマイズなど、
脳疾患分野はまさに“量子最適化”の恩恵を受けやすい領域です。


6. 「量子ネイティブ世代」が生きる世界

世界では今、

  • 小中高生向けに量子を体感するイベント
  • オンラインの量子入門コース
  • ゲーム感覚で量子を学べる教材

などが急速に増えています。IYQ 2025+2arXiv+2

日本でも、科学館での量子展示や「量子フェス」のような一般向けイベントが開催され、
“量子は専門家だけのもの”という雰囲気は少しずつ変わりつつあります。

量子コンピューターや量子センサーが当たり前に使われる世界
=「量子ネイティブ世代」が生きる世界

では、

  • 物流やエネルギーが最適化された“ムダの少ない社会”
  • 認知症や脳卒中のリスクが早期に分かり、個別最適なケアが受けられる医療
  • 障がいがあっても、AIと量子技術を組み合わせた支援ツールで、働き方・学び方が広がる社会

が、**「現実的な未来像」**として見えてきます。


7. これから量子を学ぶときの3つのポイント

量子は難しく見えますが、「全部わかろう」としなくて大丈夫です。
これから学ぶときのコツを3つに絞るなら:

  1. 直感ではなく、「ルール」として受け入れてみる
    • 「重ね合わせ」「もつれ」を“変なルール”として割り切る
  2. 使い道から逆に理解していく
    • 「創薬」「脳疾患の診断」「物流」「金融」など、身近な応用から入る
  3. 2025年という“量子100年の節目”をきっかけにする
    • 国際量子科学技術年のイベントや記事を、気軽な入口として活用するIYQ 2025+1

おわりに:非常識な物理が、脳の病気の“希望の種”になるかもしれない

量子力学は、

「常識を捨てないと理解できない」

と言われるほど、不思議で、直感に反した世界です。

それでもこの100年、私たちはその“非常識な物理”を
「正確に予測できるツール」として受け入れ、使いこなすことで、社会を大きく変えてきました。

そしてこれからの100年、量子技術は

  • 経済や安全保障だけでなく、
  • 認知症・脳卒中・てんかんなど、
    脳疾患に苦しむ人の未来を変える可能性を秘めています。

量子は、もはやSFの世界だけの話ではありません。
「スマホの中身はよく分からないけれど、アプリは使いこなせる」のと同じように、

量子の“中身”を全部理解していなくても、
「何に効きそうか」「どんな未来が開けそうか」

だけでも知っておくことが、
これからの時代を生きる私たちにとって大きな武器になるはずです。

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