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見えない障害と人権──高次脳機能障害・失語症をめぐる「気づかれにくい声」

目次

■ 要約

高次脳機能障害や失語症は、外から見えにくい障害です。しかし、記憶、注意、言語、感情のコントロールなどが難しくなり、仕事や人間関係、生活全体に大きな影響を与えます。本記事では、これらの障害と「人権」とのつながりを、やさしい言葉で、そして新しい視点から考えてみます。


「高次脳機能障害」ってなんだろう?

一言でいえば、**脳のケガや病気の後に起こる“見えにくい困難”**です。

たとえば──

  • 会話の中でうまく言葉が出てこない
  • 忘れっぽくなったり、段取りが苦手になる
  • 気分のコントロールが難しくなる
  • 相手の気持ちを読み取るのが難しくなる
  • 集中力や注意力が続かない

原因は、脳卒中、事故、脳腫瘍、てんかん、感染症などさまざまです。


そして「失語症」とは?

失語症は、脳の言語をつかさどる部分が損傷することで起きる障害です。

たとえば──

  • 話したいことがあるのに言葉が出てこない(表出の困難)
  • 相手の言っていることが理解しづらい(理解の困難)
  • 書いたり、読んだりも難しくなる(読み書きの困難)

頭の中では「わかっている」のに、うまく伝わらない──。
それは、想像以上に大きなストレスです。


周囲に理解されにくい「見えない障害」

この2つの障害には共通点があります。それは、「外から見えにくい」ということ。

  • 足を引きずっていない
  • 車いすでもない
  • 会話も短くならできてしまうこともある

そのため、「怠けている」「気が利かない」「わがままだ」と誤解されがちです。

この“誤解”が、社会との壁をどんどん高くしていきます。


たとえば、こんな「壁」

  • 面接でうまく説明できず、不採用に
  • 周囲とトラブルになり、職場で孤立
  • 近所で「変な人」と思われて、距離を置かれる
  • 支援を求めても「まだ若いのにしっかりして」と取り合ってもらえない

病気やケガそのものよりも、その後の生活や人間関係のほうがしんどいという声は少なくありません。


「これは人権の問題です」

ここで「人権」について、立ち止まって考えてみましょう。

**人権とは、「人が人らしく生きるために保障されるべき権利」**です。
これは、何か特別な人にだけあるのではなく、すべての人が持っているものです。

そして、見えない障害がある人にも、次のような人権があります。

  • 理解される権利
  • 支援される権利
  • 差別されずに生きる権利
  • 意見を表現できる権利
  • 社会に参加する権利

「障害者権利条約」って知ってますか?

2006年、国連で採択された「障害者の権利に関する条約(通称:障害者権利条約)」は、こう明言しています。

「障害のある人は、すべての人と平等に、人間としての尊厳と権利を持つ」

つまり、障害のある人が“かわいそう”だから保護するという時代ではないのです。

むしろ、

  • 社会が環境や制度を整える責任がある
  • その人自身の可能性と選択肢を広げるべきだ

という考え方なのです。


「合理的配慮」とは、何をすること?

この条約では、「合理的配慮(Reasonable Accommodation)」という言葉が重要です。

たとえば──

  • ゆっくり話してもらう
  • メモや図解で説明してもらう
  • 静かな場所で会話する
  • 複雑な作業を分担する
  • 質問に答える時間を長めにもらう

これらは、「特別扱い」ではなく、「その人が対等に参加するための調整」です。


新しい視点:見えない障害に“声”を

最近は、「インビジブル・ディスアビリティ(見えない障害)」という概念も広まりつつあります。

車いすや杖だけが「障害」ではない。
むしろ、見えない障害にこそ、社会の“やさしさの本質”が問われています。

✔ 声を出せない人の声を代弁できる社会
✔ うまく説明できない人に寄り添う態度
✔ “ちょっとした違い”に気づくセンサー

こうしたことが、社会全体の人権感覚を底上げしていくのだと思います。


自分にできることは、意外と多い

「人権」と聞くと、少し堅苦しく感じるかもしれません。
でも、実はとても身近です。

  • 「おはよう」を笑顔で言う
  • 途中で言葉が詰まっても、待つ
  • 話を遮らず、最後まで聞く
  • メモを取って渡してあげる
  • 少しだけ想像してみる──「この人、困ってるのかな?」

そんな小さな行動が、人権を守る“はじめの一歩”になります。


最後に──「見えない障害」は、見ようとする力が必要

高次脳機能障害や失語症は、誰にでも起こりうるものです。
交通事故、脳卒中、病気──ほんの一瞬で、人生が変わってしまうこともあります。

だからこそ、**これは「他人ごと」ではなく、「自分ごと」**なのです。

見えないからこそ、見ようとする力。
伝わりにくいからこそ、伝え合おうとする姿勢。

それが、ほんとうの「人権のある社会」なのではないでしょうか。


🔍 学びとキーワードまとめ

  • 高次脳機能障害・失語症=見えにくいが深刻な影響を持つ
  • 人権=障害があっても対等に生きる権利
  • 合理的配慮=対等な参加のための具体的な工夫
  • 障害者権利条約=社会が変わる責任を持つ
  • 自分の周りの人から「やさしさ」を広げていくことが出発点

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