私は山口県周南市(旧徳山市)で生まれ、高校卒業まで同市で過ごしました。
自然に囲まれた田舎でしたが、美しい景色が広がる落ち着いた場所でした。
勉強はあまり得意ではありませんでしたが、科学には強い興味があり、高校生の頃にはNECのPC-8801を使ってプログラミングにも取り組んでいました。

既存のソフトを見るよりも、自分で作る方が断然楽しく感じたことを覚えています。
大学は私立大学へ進学し、サイクリング部に所属して、北海道一周や長野の自然を堪能する活動を行いました。
一方で、大学4年生のときには、デジタル信号処理に関する新しいアイデアを考案し、それを評価した教授の推薦で、国立大学大学院への進学が決まりました。
大学院2年時には、内耳の基底膜に基づいた音声信号処理に関する研究成果をまとめ、「電子情報通信学会技術研究報告(CAS89.17-24, 1990年)」にて発表されました。
本来は研究者を志望していましたが、事情により企業に就職しました。
しかし研究への思いが断ち切れず、企業を退職して国家公務員I種(電気電子)に採用されましたが、やはり研究職に就くことはできませんでした。

そこで、研究を支える立場として「弁理士」という職業に興味を持ちました。
研究者が生み出した発明を特許として保護し、社会に広めていく仕事に強く魅力を感じたのです。
特許事務所に転職し、弁理士試験の勉強を開始。同時に結婚し、妻の支えを受けながら仕事と勉強を両立し、無事に弁理士資格を取得しました。

弁理士としては、日本国内だけでなく、米国、中国、韓国、ドイツなど、世界各国と英語でのやり取りが必要になります。
そのためTOEICで940点を取得しました。

また、中国語にも挑戦し、漢字の意味はある程度理解できるようになりましたが、発音は非常に難しく、習得には苦労しました。
その後、いくつかの特許事務所を経て、ついに独立し「テクノフォート国際特許事務所」を設立しました。独立後は、業務全体を自分の裁量で進められるようになり、大きな充実感を得ました。
テクノフォート国際特許事務所 – 特許とアイデアで、すべての人に優しい社会を!technofort.biz
独立後は健康管理の重要性も痛感し、医師の定期チェックを受けながら、ジムにも通い、筋力トレーニングに励みました。
特にベンチプレスでは100kgを達成しました。

毎週のトレーニングでは、全身をバランスよく鍛え、トレーニング後にはアミノバリューBCAA4000(500ml)を摂取し、ストレッチやクールダウンも欠かしませんでした。継続の結果、体重は67〜69kgの間で安定していました。
ところが、2019年11月17日、ジムから帰宅後に体調を崩し、右手が動かなくなりました。意識も徐々に薄れ、言葉も出なくなり、家族(妻・長女・次女)が心配する中、すぐに救急搬送されました。

MRI検査の結果、「脳梗塞」と診断されました。
脳梗塞とは、脳内の血管が詰まり血流が途絶えることで、脳細胞が酸素・栄養を受け取れなくなり機能を失う病気です。私の場合、発症後に「失語症(しつごしょう)」を伴いました。
医師に「お名前は?」と尋ねられても言葉が出ず、「失語症ですね」と診断されました。

失語症とは、脳の損傷により言葉を話す・聞く・読む・書く能力が低下する障害で、症状は人によって異なります。
その後も、家族との会話ができず、気持ちを伝える手段がないもどかしさを強く感じました。

さらに、2020年7月7日には「てんかん(癲癇)」の強直間代発作を発症。3日間、完全に意識を失いました。
てんかんは、脳内の異常な電気信号により引き起こされる神経疾患で、けいれんや意識喪失を伴います。

そして、2020年10月19日、2度目の脳梗塞を発症。失語症の症状はさらに重くなりました。
以降も「小さなてんかん発作」が16回も起き、右耳から高音が聞こえる、視野に閃光が走る、右手が麻痺する、体感温度が変動するなどの症状に苦しみました。
そのたびに薬の調整を試みましたが、うまくいかず、主治医を変更しました。新しい主治医は、薬を「そのまま」「変更」「追加」の3つの選択肢から、私は「追加」を選びました。以後、発作の回数が大幅に減りました。
てんかん発作後は、言葉の回復に3~4週間かかります。しかし発作が減ったことで、日常生活が安定し、活動の幅も広がっていきました。
私は、自身の体験をもとに、次の特許を作成・出願しました。
- 失語症支援特許:特願2023-177021
てんかん支援特許:特願2023-177022
慢性腎臓病支援特許:特願2024-109289
- ※慢性腎臓病(CKD)は日本国内で1000万人以上が該当すると言われる病気で、私は自分で調べるまでCKDステージ3aであることを知りませんでした。
・高次脳機能障害支援特許:特願2024-159644
さらに、私は脳モデル装置(SNN:Spiking Neural Network)に関する特許も出願しました。
・脳の病気(脳モデル)特許:特願2025-019664
脳モデル装置は、脳損傷・高次脳機能障害・てんかん・認知症の解析や予測、リハビリ支援に応用できる新しい技術であり、生体に近い神経信号の再現によって損傷部位の働きや回復可能性をシミュレートできます。従来のディープラーニングよりもエネルギー効率が高いため、ウェアラブル医療機器への応用も期待されています。
現在、私は「障がい者」や「高次脳機能障害」「失語症」「てんかん」への理解を社会に広めることを目指し、特許の出願や支援につながるアイデアの創出に継続的に取り組んでいます。
なかでも高次脳機能障害に関する特許は、現時点で約200件程度と非常に少なく、支援体制や社会的な理解もまだ十分に整っているとは言えません。そのため、私自身の経験を活かしながら、少しでも多くの方の助けになれるよう、日々情報発信や特許活動を続けています。
現在では、生成AIや量子コンピュータといった先端技術の進化により、障がい者にとってやさしい社会を実現できる可能性が広がっています。たとえば、コミュニケーション支援や認知機能の補助、生活環境の最適化など、多方面でテクノロジーが活用され始めています。こうした技術を活かし、障がいのある方々が自分らしく生きられる未来の構築に、少しでも貢献できればと考えています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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