【はじめに】
2025年現在、世界は再び“緊張の時代”に突入しています。ウクライナ、ガザ、台湾、朝鮮半島──いずれも小さな引き金で大規模な戦争へと発展しかねない火種を抱えています。こうした国際情勢の背景には、ある共通点があります。それは、これらの重大な決定を担っている多くの国家指導者が「70歳以上の高齢男性」であるという事実です。
かつて私たちは、高齢のリーダーに「経験」「知恵」「忍耐力」を求めました。しかし、現代において、その期待は果たして現実に即しているのでしょうか? 彼らは平和のブレーキになっているのか、それとも新たな火種を生み出す引き金になっているのか──。本稿では、世界の指導者たちの年齢と行動に注目し、第三次世界大戦のリスクと、その回避に向けた道筋を考察します。
【1. 緊張を生むキーパーソンは高齢の指導者たち】
現在、国際的な緊張を高める中心人物は以下の通りです。
- ドナルド・トランプ(米国元大統領):79歳(2024年大統領選に再出馬)
- ウラジーミル・プーチン(ロシア大統領):72歳(ウクライナ侵攻の主導者)
- 習近平(中国国家主席):72歳(台湾への圧力を強化)
- ベンヤミン・ネタニヤフ(イスラエル首相):75歳(ガザへの軍事行動を指導)
- アリー・ハメネイ(イラン最高指導者):86歳(反米・反イスラエルの象徴)
共通点は、高齢であることだけではありません。いずれも長期政権、強いイデオロギー志向、そして反対意見を排除しやすい体制を築いています。つまり、彼らの「個人的判断」が国家運営を左右する“個人支配の時代”に、私たちは再び立たされているのです。
【2. なぜ高齢指導者がリスクとなるのか】
高齢の政治指導者はかつて、戦争の悲劇を知る“平和の象徴”とされてきました。しかし現在では、以下のようなリスクも指摘されています。
2-1. 思考の硬直化と自己正当化
加齢とともに脳の柔軟性は低下し、新しい視点や異論を受け入れにくくなる傾向があります。プーチンは「ソ連崩壊は20世紀最大の悲劇」と述べ、旧ソ連圏の回復に執着しています。これは歴史の見直しではなく、他国の主権を無視する「修正主義的」な姿勢とも言えるでしょう。
2-2. 情報の遮断と独裁構造
習近平やハメネイのように情報統制が強い体制では、現場の声がトップに届かず、誤った判断が是正されにくくなります。こうした環境では、暴走を防ぐブレーキが機能しません。
2-3. “最後の偉業”を求める誘惑
高齢指導者の中には、「人生の集大成」として歴史に名を残すことを望み、その結果として強引な国家目標(例:台湾統一、エルサレム支配、覇権回復)を掲げてしまうケースもあります。これが戦争を正当化する名目に変わる危険性があります。
【3. 年齢が問題なのではない──本質は柔軟性と統治体制】
ここで誤解してはならないのは、「高齢=危険」という単純な発想です。
たとえば:
- ジミー・カーター元米大統領(100歳近く):中東和平の仲介者として活躍
- 教皇フランシスコ(87歳):戦争反対と対話の促進を呼びかける精神的リーダー
このように、高齢でも柔軟で対話を重視する指導者は存在します。問題なのは年齢ではなく、「多様な視点に耳を傾けられるか」「暴走を防ぐ制度があるか」といった政治文化や体制なのです。
【4. 第三次世界大戦の可能性と新たな戦争の形】
では、実際に第三次世界大戦が起きる可能性はどれほどあるのでしょうか。
4-1. 核戦争の可能性は依然として低い
米ロ中などの核保有国はいずれも、「核兵器を使えば自国も滅亡する」という核抑止理論(Mutual Assured Destruction)を理解しています。そのため、全面的な核戦争の可能性は高くありません。
4-2. 代理戦争・局地紛争の拡大
より現実的なのは、複数の地域で起こる“局地戦争”が連鎖し、事実上の世界大戦に発展するシナリオです。ウクライナ、台湾、朝鮮半島、ガザなど、火種はすでに存在しています。
4-3. サイバー・経済・AI戦争の時代へ
無人兵器、AIによる意思決定、金融制裁、サイバー攻撃といった“血を流さない戦争”も進行中です。これらは外見上は戦争に見えにくいですが、実際には国家を麻痺させ、人命や経済に深刻なダメージを与える“静かな戦争”です。
【5. 戦争を止めるために必要なもの】
高齢のリーダーが暴走しないためには、以下の3点が極めて重要です。
- 国民の世論と選挙:民主主義国家では、選挙が最大のチェック機能となります。
- 情報の透明性:SNS、AI、国際メディアによる情報公開は、独裁を抑制する力になります。
- 若者の対話力と多様性:対立ではなく、共生や交渉を重視する若い世代の声が、新しい時代の舵を取る鍵となるでしょう。
【まとめ:暴走を防ぐのは、社会全体の責任】
第三次世界大戦は、もしかするとすでに“静かに”始まっているのかもしれません。高齢の指導者たちが手にするのは、単なる核のスイッチではなく、経済・情報・未来そのものを左右する力です。
だからこそ、私たちは問い続けなければなりません。
- いま、誰が世界を動かしているのか?
- その判断は合理的か、偏っていないか?
- そして、私たちは何ができるのか?
【補足:運転免許と国家運営──高齢者講習の視点から】
日本では、70歳以上のドライバーが運転免許を更新する際、「高齢者講習」を受けることが義務付けられています。これは、加齢に伴う判断力・反応速度の低下が、交通事故のリスクを高めると科学的に示されているためです。
では、その何倍も重い「国家運営」というハンドルを握る高齢指導者には、同様のチェック体制があるのでしょうか?
車が暴走すれば命を奪いますが、国家が暴走すれば戦争・環境破壊・世界不安定化へとつながります。
しかし現実には、国家運営において年齢による認知評価も、感情的バイアスの審査も行われていません。
これは単なる比喩ではありません。実際に、情報を遮断し、異論を封じ、感情や過去への執着から戦争を始めるリーダーを、私たちはこの目で見ています。
必要なのは、高齢者の排除ではありません。科学的なチェックと、制度的な補助装置を政治に導入することです。そのひとつの答えが、
- AIによる冷静な補佐
- 社会全体が参加する協働型の意思決定モデル
なのです。
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